ITO’s FOCUS

海洋プラスチック問題と、私たちの身近な対策


海や川、湖などの水環境に流出しているプラスチックごみは、年間約1,900万〜2,300万トンにのぼるとされ、世界的な環境課題となっています。(※1)
近年では、目に見えるごみだけでなく、5mm以下の「マイクロプラスチック」が生態系や人体への影響という観点からも注目されています。これらの多くは、特別な場所からではなく、日常生活や身近なインフラから少しずつ流出しています。
衣類の繊維、タイヤの摩耗粉、舗装材、そして屋外施設に使用される各種素材など、私たちの暮らしを支える便利な製品も、その一部を担っています。
(※1)やめよう、プラスチック汚染 | 国際連合広報センター

利便性と環境影響のバランス

例えば人工芝は、メンテナンス性や景観性に優れ、公園や学校、スポーツ施設などで広く活用されています。

こうした素材は社会にとって有用なものであり、すべてを否定するものではありません。
一方で、長期間の使用により劣化した繊維や充填材(珪砂、ゴムチップなど)が微細化し、雨水とともに排水系統へ流出する可能性があることも指摘されています。(※2)
これは人工芝に限らず、さまざまな屋外利用素材に共通する課題でもあります。
重要なのは「使うか使わないか」ではなく、「どう使い、どう流出を防ぐか」という視点です。
(※2)人工芝競技場における競技者による人工芝断片およびゴムチップの競技場外への流出問題に関する研究

求められるのは“外に出さない仕組み”

こうした背景から、欧州を中心にマイクロプラスチックの流出抑制に関する規制やガイドライン整備が進んでいます。
日本国内でも自治体レベルでの対策検討が進みつつあります。(※3)
対策の基本はシンプルで、施設外へ流出させないことです。(※4)



具体的には、


  • 排水桝での捕捉
  • 出入口での粒子回収
  • 定期的な清掃・維持管理

といった「出口対策」の積み重ねが有効とされています。

小さな対策が、大きな環境保全へ

マイクロプラスチック問題はスケールが大きい一方で、その発生源は非常に分散しています。
だからこそ、各施設単位での対策が全体として大きな効果を生みます。
特に排水経路におけるフィルタリングは、比較的導入しやすく、確実に効果を発揮する手法の一つです。
既存施設にも後付けで対応できる点も、大きなメリットといえるでしょう。

インフラからできる環境対策

こうした流出抑制の考え方は、これからのインフラ整備において重要な視点となります。
排水桝に設置するフィルターなどを活用し、微細なプラスチックを施設内で捕捉する仕組みを構築することは、海洋流出を防ぐ「最後の砦」ともいえます。
日々の便利さを維持しながら、環境への影響を最小限に抑える——
そのための現実的な解決策として、こうした技術の活用が今後ますます求められていくでしょう。


まとめ

便利さの裏側で生じる環境負荷をゼロにすることは簡単ではありません。
しかし、「流さない」という視点での対策は、今すぐにでも取り組める現実的な一歩です。
排水対策という身近な取り組みが、海や川、そして私たちの未来を守ることにつながっていきます。

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